- 2022/06/08
- 展示会
高齢者住宅・施設を取り巻く環境の変化
2021年1億2500万人の日本の人口は、2053年1億人を割ると予測され、生産年齢は減少の一途をたどる。高齢者人口は2042年まで増加して3935万人をピークに減少に転じる。2045年以降高齢者住宅・施設は余剰時代を迎える。
ケアスタッフ不足が深刻化し、介護ロボットの開発が期待されるがその穴埋めには程遠い。介護職員配置基準3:1を満たせないホームが相当数に上ると思われる。そもそも北欧の高齢者向け住宅には3:1などという基準を定めない。入居者の満足度を満たすサービスを提供しているかどうかが評価基準となっているからだ。
2021年年間死亡者数は125万人、2030年には165万人に達する。病院や施設での死亡者数はほとんど増えず、自宅や高齢者住宅に死に場所が変わっていく。特に有料老人ホームは実質上の「終の住まい」となっていくことを求められる。最近では、これをいち早く察した事業者は民間版ホスピスを住宅型有料老人ホームとして事業化している。中には品質の問題のあるホームも増えているが、ニーズに答えた形となっている。
介護保険事業(支援)計画では、介護保険施設・居住系の整備計画は、第3期から第7期まで計画値に対して5万戸が未達成となっている。ニーズ調査から算定された整備計画値が未達成ということは、入居を必要としているにもかかわらず入居できなかった人(入居困難者)が毎期5万人発生したということだ。由々しき事態と捉えるべきだろう。
高齢者住宅・施設が足りているのか調べてみた。自治体ごとに要介護者3以上を需要数とし、介護保険3施設+特定施設+グループホーム+地域密着サービス(夜間介護・24時間定期巡回・小多機・看多機)を供給数として過不足を算定した。概ね不足傾向を示しているが、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅を供給数に加えると半数以上が供給過剰となる。
都市部や人口集積エリアでは不足が目立つ一方で、地方部では供給過剰となった。住宅型やサ付きが受け皿となっている実態が浮かび上がってきた。重度化した時に居住が継続できない住宅型とサ付きは特定施設に誘導することが選択肢の一つとして検討すべきだ。