医療サービスを充実し居室内の看取りも対応
平成21年9月、群馬県太田市に医療法人三省会(理事長=堀江健司氏)が事業主体となる介護付き有料老人ホーム「ラッパーズ太田」がオープンしました。医療法の改正により、平成19年4月から医療法人が有料老人ホームの経営に直接携わることができるようになったことを受けて、地元で50年以上親しまれてきた堀江病院を運営する同法人が開設したものです。
老人保健施設や、グループ法人である、社会福祉法人仁和会(理事長=橋本和雄氏)による特別養護老人ホームなど、福祉施設をすでに開設運営している医療法人三省会は、堀江理事長の強い信念から、施設から在宅へのニーズの変換が今後大きなうねりとなることを予測し、プライバシーの守られた居室に、老後の生活には欠かせない医療サービスを付加するかたちで事業化を決断しました。
同ホームでは毎月2回、堀江理事長自らが入居者全員を診て回り、健康管理に努めているほかに、毎週水曜日の午後、堀江病院の医師による医療相談を、希望する入居者に対して行っています。高齢になった入居者の病気に対する不安を解消すべく、ゆっくりと時間をかけた医師による傾聴は入居者の心の拠り所になっています。これらの医療サービスは診療報酬の請求を一切せず、医療法人が行う事業ゆえの入居者へのサービスのー環と位置づけています。
このような医療サービスを背景に、居室内での看取りも行っています。
「入居以来スタッフの皆様に大変親切にしていただきありがとうございました。お別れの日、みんなで1目早い91歳の誕生日を、涙をこらえて歌って祝ってくれたこと、嬉しかったですよ。一人ひとりにお別れのあいさつができずに旅立ってしまったこと、許して下さいね。旅の途中の今、皆さんの顔を思い浮かべています」。看取られた入居者に代わってご家族がホームに送った手紙です。人生の終焉を心温かく迎えることができたご家族の感謝の気持ちが伝わります。
入居金は一時金方式と月額方式の選択が可能
RC造3階建てで、1、2階は重介護の方や医療依存度の高い方、認知症の方の住まいとなっていて、3階は自立の方や比較的軽度の方、2人入居の方の住まいになっています。
専用居室はトイレ・洗面付きで19㎡を中心に構成し、キッチン・バスも設備し、2入で入居する広い65㎡まであり、全61戸・定員65人の規模です。共用部には、各階に2ヵ所のリビング・ダイニングルームを設け、管理栄養士の行き届いた献立メニューで家庭料理を提供しており、陶磁器や塗り物の食器でいただく食事の味は群を抜いています。家庭での入浴と同様に癒される檜風呂や、リハビリを行う機能訓練室、遠隔地からの滞在や看取りの際にご家族が利用するゲストルームなどを設備しています。
入居に際しては、体験入居して入居する意思を確認した後に、ケアマネジャーや管理栄養士がご自宅を訪問して、1日の生活リズムや嗜好品など、細かな本人情報を得て、入居時のトランスフアーショック(※環境変化に起因した生活能力の低下など)を和らげる努力をしています。もちろん自宅からの家具の持ち込みも奨励しています。
入居金は、一時金方式か月額方式かの選択ができます。一時金方式では10%の初期償却で、入居時年齢によって①65歳から74歳:679万円(7年償却)、②75歳から84歳:582万円(6年償却)、③85歳以上:485万円(5年償却)の3段階にわかれていて、管理費や食費の月額費用は17万9000円となっています。
月額方式の場合は、ここから6万円高い、23万9000円を利用期間中毎月払い続けますので、この方式を選択する方は長期の利用を望めない重篤な方が多くなります。
入居者の平均年齢86歳、平均要介護度2.69と、ほかのホームと比べて若干高くなっていますが、これは医療のバックアップによる影響と思われます。
医療法人が直接経営する有料老人ホームは今後増えていくと思われますが、その先鞭をつけた「ラッパーズ太田」に注目しています。