手厚い医療・介護体制
医療法人社団総生会(理事長=菅總充郎氏)は、小田急線柿生駅至近の地に、麻生病院(68床)を昭和57年に開設。その後199床に増床し、麻生総合病院と名称変更しました。さらに、介護保険制度開始に合わせて平成12年に訪問看護ステーションを、平成13年には麻生リハビリ総合病院(180床)を開設して、より地域に密着した病院として機能してきました。
総生会ロイヤルホームは、同法人を事業主体として神奈川県川崎市麻生区に開設された介護付有料老人ホームです。柿生駅から徒歩5分と交通至便で、リハビリや慢性疾患、人工透析などに実績のある麻生医療グループに隣接する地に位置し、“医療密着型”の有料老人ホームといえます。
総生会ロイヤルホームは川崎市との協議で介護専用型となっていますので、入居者は原則、要介護1以上の方を対象としていますが、ご夫婦で入居する場合は、どちらかが要介護状態であれば入居できます。介護職員の配置は2対1以上で、24時間看護師が配置され、病院との連携も含めて介護・医療体制は手厚くなっています。
脳梗塞などによる片麻痺でリハビリを受けながらの生活や、慢性疾患の治療を、主治医を変えずに受けることも可能です。看取りの場としてガンの末期患者の受け皿にもなりうる医療との連携が最大のポイントです。
食事は3食とも2種類のメニューから好きな方を選択できます。入居者は原則、1階の食堂で食事しますが、将来的には居室のある2階から4階でも対応を検討しているとのことです。
入居一時金等は高額に
建物は4階建てで、1階にはフロント、エントランスロビー、食堂、厨房、健康管理室、多目的室(理美容・デンタル)などの共用スペースがあり、2階から4階には居室60室と浴室、機能訓練室などが配置されています。
居室は、1人介護居室には洗面とトイレが設置された20㎡の専有面積となっており、2人介護居室にはユニットバスも組み込まれ、32㎡というゆったりした居住空間になっています。
建物のレンタブル比(貸室部分÷延べ床面積)は36%と、建物全体に余裕を感じさせる、ゆったりとした設計です。
事業主体が医療法人であるためか、ハードは全体的に老健施設を彷彿させるものがありますが、有料老人ホームの求めるべき住まいの場というよりも、むしろ施設的な印象を強調したのは、医療の安心を前面に出す選択がされたものと思われます。
入居一時金は、1人入居では2000万円から2200万円。2人入居では4000万円で、10年間の償却期間で初期償却は30%。月額費用は1人入居では27万8000円、2人入居で2人とも要介護状態で入居する場合には53万5000円と、高額タイプのホームとなっています。
ハード・ソフトともに高級であるため、どうしても高額になってしまうのは避けられなかったのでしようが、近年の傾向では高額ホームの入居率は開設後1~2年間は低調な傾向が多く見受けられます。
事業主体が実績のある医療法人でありながら、満室までに不要な時間を費やすのは、社会的損失だと思いますので、より入居しやすい料金体系を取り入れ、早期に満室運営できるような多様な価格のバリエーションを設けることが望まれます。償却期間を短くした高年齢者向け入居金体系や、1年ごとの短期契約などの料金設定など、工夫を凝らすのも一策かと思います。
医療法人が高齢者専用賃貸住宅や有料老人ホームの経営ができるようになっておよそ5年が経過しました。平成18年から、社会保障費の削減によって特養ホームや老健施設の開設数が低迷し、「総量規制」で特定施設やグループホームの供給も減少しているのに対し、高齢者数の増加にあわせて要介護者も増加しています。
この結果、安心して生活できる“包括ケア”’を提供する場が年々減少し、入居先を探すのが年々困難になってきました。実績のある医療法人の高齢者居住系事業への参入は、安心した暮らしができるようにという社会からの要請でもあり、今後の展開に注目したいと思います。